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夏休みにトンボの絵を上手に描く方法 - 初心者でも簡単ステップガイド

夏休みになると、子どもたちを悩ませる宿題のひとつが「絵を描くこと」だ。プールの絵、花火の絵、そしてなんといっても毎年多くの小学校で課題に出るのがトンボの絵。「どこから描けばいいかわからない」「羽のバランスが崩れる」「なんか虫っぽくない」という声は、子どもよりも親のほうが多かったりする。そんな悩みをまるごと解決するのが、このガイドの目的だ。

夏休みにトンボの絵を描く子ども

なぜ夏休みにトンボの絵が注目されるのか

日本では長年、夏休みの課題としてトンボをテーマにした絵画コンクールが盛んに行われてきた。全国から十数万点もの応募が集まる大規模なコンクールもあり、応募作品のテーマは「トンボ」または「トンボのいる風景」の絵画とされている。水彩、クレヨン、コンテ、鉛筆、油彩など画材・表現方法は自由だ。これだけ規模が大きいと、「どう描けば目立つか」という視点も自然と必要になってくる。

そもそもトンボは、夏から秋にかけて日本の田んぼや池のそばでよく見かける昆虫だ。「トンボ」と聞くと夏のイメージを持つ人が多いが、赤とんぼというと途端に秋のイメージになる。色が変わるだけで季節の印象まで変わってしまうのが、絵の面白いところでもある。つまり、使う色次第で作品の雰囲気をがらりと変えられるということ。これは絵を描く上での大きな武器になる。

まず「観察」が絵の質を決める

どんな上手な描き方のコツを読んでも、実物を見ずに描いた絵はどこかぼんやりする。トンボの絵を簡単に書こうと思ったら、細かいことは省略して大きな特徴だけ押さえればいい。そのために、本物をよく観察して特徴を知ることが大事だ。観察の鋭さが絵に宿る。そしてその観察力こそが、審査員の目を引く一番の要素になる。

都会に住んでいてなかなか実物を見る機会がない場合は、図鑑やネット検索が頼りになる。「オニヤンマ 画像」のように種類名で検索すると、かっこいいポーズや構図のアイデアが見つかりやすい。ネットなら朝でも夜でも安全に親子でゆっくり観察できる。実物でも写真でも、まず「じっくり見る」という習慣をつけることが、絵の上達への一番の近道だ。

トンボの細部を観察する写真

トンボの体の構造 - 描く前に知っておきたいこと

トンボの絵で失敗しやすいポイントは、体のバランスと羽の形だ。実は、トンボの体はいくつかの特徴的な形の組み合わせでできている。それを頭に入れておくだけで、完成度がぐんと上がる。

トンボは昆虫なので、真上から見たところを描くときには体が左右対称になっていることがとても大切だ。羽の細かい模様を描くときは簡略化して描いてよいが、必ず左右対称を意識することが重要だ。対称のバランスが崩れると、どんなに細部を丁寧に描いても「なんか変」という印象になってしまう。

トンボの尻尾は先のほうが少し膨らんでいたり、羽の前側が少しへこんでいるのが特徴だ。この特徴を描いてあげるだけで、結構リアルなトンボに見えてくる。また、トンボの羽はよく見るとブーメランのような形になっている。足は体の胸の位置から生えている点も忘れずに押さえておこう。

ステップごとに描く - 初心者でも迷わないトンボの書き方

では実際に、順を追って描いてみよう。難しく考える必要はない。大きなパーツから順番に描いていくのが基本だ。

ステップ1 - 頭と目のアタリを描く

まずはトンボの体の軸に沿って対称線を引き、その上にトンボの頭のアタリとなる丸を描く。さらに、頭のアタリに重なる形で目のアタリとなる楕円を2個描こう。この2個の丸はトンボの特徴的な目になるので、あえて大げさに描いてみると存在感が出る。

ステップ2 - 胸と腹のアタリを描く

トンボの胸のアタリは、頭の下に同じ大きさの丸を2個つなげて描き、2個目の円を半分に割るようにすると描きやすい。トンボのお腹を描くときは、胸のアタリと同じように9個つなげて丸を描く。1個目と8個目の丸は少し大きめに、2番目から7番目は少し細めにするとメリハリのあるきれいなトンボになる。

ステップ3 - 羽を描く

三角形と長方形のパーツに分けて考えると、トンボの羽のアタリは描きやすくなる。上の羽は少し上に反らせ、下の羽は直線で描くとトンボらしさがさらに増す。かわいいタッチで描きたいなら、横向きのハートを2個描くイメージで羽を描くのもよい。下側のふくらみを上側に比べて小さめにするのがコツだ。

ステップ4 - 線画を仕上げる

トンボの胴体の線画を描くときは、尻尾の先を二股に分けて描く。直線を引くときはピシッとした線ではなく、少し丸みを帯びた線で描くと生き物らしい線画になる。触覚や口、目も付け足すと、頭の線画がよりリアルになる。

トンボの絵のステップごとの描き方

バランスが崩れない「コンパスを使った下書き」のコツ

羽の長さがバラバラになったり、胴体が曲がってしまうのは初心者に多い悩みだ。そこで一つ、実用的な方法がある。トンボの絵はコンパスで円と三角形を描けば、どんなに絵が苦手な人でもきれいなバランスでトンボらしい絵が描ける。羽の長さや胴の長さが変になることもなく、絶対に失敗のしようがない。定規やコンパスを「チートツール」として使うことは、むしろ正しい観察と構図力を養うための入り口になる。

色の塗り方でグンと差がつく

線画が完成したら、次は色塗りだ。ここが意外と奥深い。同じ形のトンボでも、色の使い方ひとつで印象は全く変わる。

トンボの色は、目を緑色と水色、胴体をグレーに近い黒、羽を黄色と水色で塗るのが基本だ。節や模様は黄色で胴体に塗るとトンボらしくなる。いろいろな種類のトンボがいるので、描きたいトンボに合った色を選ぼう。

羽の模様の描き方にも一工夫できる。トンボの羽の模様は、まず横線を引いてから小さな窓に区切っていくとキレいに描ける。羽の色よりも少し濃い色を使って羽の模様を描くと、よりトンボの羽らしくなる。最後に影と目のハイライトを描きこめば完成だ。

クレヨン、色鉛筆、パステル、水彩絵の具などさまざまな画材があるが、絵画コンクールなら他の出品者と差をつけるためにプロの画材を使ってみるのもおすすめだ。コンクールで評価の高い「グラデーション」も簡単に出せる。水彩クレヨンを水で伸ばすだけで、空や水面のような淡いグラデーションが一気に生まれる。

トンボの水彩画カラフルな色塗り

構図と背景 - 「トンボのいる風景」をどう描くか

トンボ単体を描くだけでなく、背景と組み合わせると作品としての説得力が増す。夏休みらしい場面、例えば田んぼや蓮池、夕暮れの空などを加えると一気に「物語のある絵」になる。

構図で重要なのは、トンボを画面の中心に置きすぎないこと。少しずらしたほうが動きとリズムが生まれる。審査員が票を入れたくなるのは、よく観察して描かれた絵、自分の好きなトンボを自由に描けている絵、子どもらしくのびのびした絵だ。技術的な完璧さよりも、描いた人の気持ちや個性が伝わる作品のほうが、見る人の心を動かす。

背景の色は、トンボの色と対比するように選ぶとよい。赤とんぼなら青い空や緑の田んぼと合わせると色が映える。オニヤンマのような黒と黄色の縞模様を持つ大型のトンボなら、白やベージュの淡い背景と組み合わせるとトンボそのものが際立つ。

絵画コンクールで評価される絵とは

夏休みの課題として絵画コンクールに出品する場合、押さえておくべきポイントがある。「本人が創作した未発表のもので、他に同一・類似作品がないもの」という規定があり、明らかに親が手伝った風の子どもらしくない絵は、多少粗削りでも子どもらしく伸び伸びした絵に負けることがある。つまり、テクニックより「自分らしさ」が大事だということだ。

感動や「大好き」が伝わるように、すごく好きなトンボを選んでそのトンボが大好きなことが伝わるように描くと評価が高い。絵画コンクールで上手いと思われるためには、とにかく「よく観察すること」が基本だ。何時間も机に向かうより、外でトンボをしっかり眺めてくる15分のほうがよほど絵の栄養になる。

種類ごとのトンボの特徴をつかむ

どのトンボを描くかによって、体型や色が大きく変わる。代表的な種類の特徴を知っておくと、描き分けが格段に楽になる。

種類 体の色 大きさの目安 絵の特徴ポイント
アキアカネ(赤とんぼ) 鮮やかな赤橙色 35〜40mm 細い腹部、透明な羽
オニヤンマ 黒と黄色の縞模様 90〜110mm(最大級) 大きな複眼、力強い羽
シオカラトンボ 水色(オス)・黄褐色(メス) 50〜60mm 太めの腹、翅の基部に黒い斑点
ギンヤンマ 緑と青の光沢 70〜80mm 胸部の鮮やかな緑色が目立つ

トンボの種類によって体と羽の大きさの比率が変わってくる。小さくてスリムなアキアカネと、どっしりとした体格のオニヤンマとでは、描くバランス自体が違う。好きな種類を一つ決めて、その特徴に集中して描くのが仕上がりをよくする近道だ。

日本の代表的なトンボの種類

子どもが楽しく描くために、親ができること

「上手く描かせよう」という親心が、かえって子どものやる気を奪うことがある。手を出しすぎず、でも観察の機会をつくってあげることが一番の支援になる。一緒に図鑑をめくったり、近所の公園でトンボを探す散歩をしたりするだけで、子どもの絵に宿るエネルギーが変わる。

また、使う画材を少し工夫するだけでモチベーションが上がることもある。いつものクレヨンでなく、水彩絵の具や水で溶ける色鉛筆を使ってみると、色の広がり方が違って新鮮に感じる子どもも多い。道具が変わると表現も変わる。それが絵の楽しさだ。

夏休みの絵に込める「自分の夏」

トンボの絵は、ただ昆虫を描く課題ではない。夏の記憶、感じた風、あの瞬間に田んぼで見たトンボの動き、そういったものを紙の上に再現する行為だ。技術は後からついてくる。まず描きたいという気持ち、見たという体験、そこから絵は生まれる。

難しく考えなくていい。頭の丸から始めて、胸、腹、羽と順番に描いていけばいい。色を選ぶ楽しさも、羽に細かい模様を入れる達成感も、全部ひっくるめてそれが夏休みの絵の書き方だ。今年の夏、鉛筆を持ってトンボと向き合ってみよう。